2015年12月11日

オランダ・ベルギー・フランス2014

2014.2.18〜2014.2.25
■2月18日(火)
成田発  
■2月19日(水)
アブダビ経由でアムステルダムへ
■2月20日(木)・アムステルダム−キンデルダイク−ブルージュ
アムステルダム国立美術館、ゴッホ美術館。 
 キンデルダイクでは風車見学。 
■2月21日(金)・ブルージュ−ブリュッセル−パリ
 午前中はブルージュの市内散策。 
 ブリュッセルでは小便小僧の前に数秒たたずんで駆け足でベルギー王立美術館へ。 
 夜中パリ着。
■2月22日(土)・パリ
 オルセー美術館、ロダン美術館、オランジュリー美術館
■2月23日(日)・パリ
 モロー美術館、ルーブル美術館、オルセー美術館(2周目)  
■2月24日(月)・帰国
 早朝出発、日本到着は翌日の昼頃。
■2月25日(火)・帰宅


■アムステルダム 
 街並みは非常に美しいですね。
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 間口の幅によって税額が変わるそうなので、幅の狭い家がどこまでも並びます。
 家具などを入れるために窓は大きめ。
 そうそう、オランダ人って個人主義な気質が強いのですって。 マリファナも違法じゃないし、売春も合法。 街中を歩いていてなんだか気になったのが、ガムの捨て跡とタバコのポイ捨ては非常に多かったような。 このあたりも個人主義的国民性の表れなんでしょうか?

■オランダの美術館
アムステルダム国立美術館 長年の美術館改築を終えて最近再オープンしたんですよね。
 偉大な画家を多く輩出した国・オランダ。 さすがに展示品も充実していました。
 目玉はレンブラントの「夜警」 世界三大名画と呼ばれるものの一つ。 まさに一つのドラマが詰まっているような構成と、コントラストが見事。 wikiによると、この絵は、過去に何度か私怨による損傷を受けてるそうですね。 
 あと、フェルメール「牛乳を注ぐ女」 良い体格のおかんが牛乳注いでいるだけの絵なのに、なんだろうこの静謐な美しさ。 額縁の向こうでミルクを注ぐ音や、エプロンの台所の匂いなんかが漂ってきそう。 つい息をひそめて見入ってしまいます。

ゴッホ美術館 ゴッホファンなら鼻血を吹きそうなほどにゴッホ尽くしでした。 油彩だけでも200点、もしこの点数日本で展示したら民族大移動が起きるかもしれないぞっと。 地味ーな初期からカラフルな晩年まで通して見終わるころには、彼をさらに好きになってしまう。
 ゴッホの数少ない友達枠としてゴーギャンの絵も数点。 ゴーギャンの絵のパワーに改めて感心させられました。
 そういえば、道中地元の人に道を尋ねたら「ファン・ホッフ」(「フ」は殆ど発音しない)と呼んでました。

■キンデルダイク
 世界遺産・キンデルダイクの風車群。
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 オランダの国土は風車による干拓によって作られたんだな、というのが実感できる場所です。
 この旅行で降り立ったアムステルダムのスキポール空港は「船の墓場」という意味だそう。
 干拓をしていったら、船の残骸が沢山出てきたからそう名付けられたとか。
 オランダの風景画家・ロイスダールがよく描き入れてた風車たちも、何百年前から地道に水をくみ上げて国土を作っていったんだなと思うと、感慨深いものがありますね。

■ブルージュ(ベルギー)
 ベルギーではブルージュで一泊。
 どこを撮っても絵になる街並みでした。
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 ボビンレース織りの名産地とのこと、こちらのワインボトルの服はかわいいですね。
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 街の地図までレース織り仕様、おしゃれ。
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 尼僧院も趣深いたたずまい。
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 すばらしい眺めの「愛の湖」。
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 ヨーロッパの冬場の気色、風情があって好きだなぁ。

■ベルギー王立美術館 
 ブリュッセルの自由時間(1時間半)、ベルギーワッフルをかじりながら駆け足で向かい、大急ぎで見てきました。
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 王立らしく入り口にはベルギー王・王妃の写真が飾ってありました。
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 内装も豪華。
 コレクション自体も見応えがありましたよ。 内容はオーソドックスというか。
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 (犬棒的に)欧州歩けば必ず当たるルーベンス。
 ベルギーのアントワープに住んでいた時期もあり、もちろん多数展示されてました。
 閑散とした館内で彼の大作に囲まれる贅沢にありつけるも、時間が(涙)
 ベルギー出身の有名画家といえばブリューゲルも。 彼の説明的な作品はできればじっくり眺めたい…しかし、それも叶わず(涙)。
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 ところでこのイエス様はパッと見、両側の紳士淑女にキックかましているようにも見えなくもない???

■オルセー美術館
 前回のロンドン・パリ旅行でいきそびれたオルセー美術館(以前はどちらか迷ってルーブルに行ったのでした)。 絵画の充実度は半端無くて、2日連続で訪れました。 
 ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場」はなんとも言えない幸福感に満ちた美しさ。 私は今までルノワールは、まあ好き程度だったのだけど、これを見たら大好きにならずにいられません。 笑顔と彩りあふれる、こんなに綺麗な光景を嫌みなく描けるなんて、ルノワールってきっととてもいい人だったんだろうな。 
 ロートレックの絵の巧さと格好良さったらもう。 絵仕事辞めたくなるほどでした(笑) パリっ子の粋な精神を表現しきったような雰囲気とセンス、こんな格好いい絵が描けるようになりたーい。 セザンヌに描かれる絵のモデルは皆ふてくされたような顔してるけど、ロートレックのは皆表情がとても自然体で魅力的。 
 彼行きつけのキャバレー「ムーラン・ルージュ」にも行ってみたかったんだけど、まる半日歩きづめ、今回は断念しました。 

■モロー美術館
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 モロー美術館、彼の邸宅(立派なお宅で)をそのまま展示室に。 室内の四面モローの絵がびっしり、まるで宝石箱のような美術館でした。 彼の絵の魅力は印刷物では半分くらいしか伝わってないのだなとつくづく。 絵の具の盛り込み加減で、表面が細工物のようにキラキラと輝いているんです。 あと、レース織りのような描き込みの緻密さ。 神々しくも悩ましい美に酔いしれました。 こういうどこまでも耽美な絵描きたいな。 
 展示室はこんな感じ
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 画集やネットで見た絵が文字通りひしめいていました。 
 寝室にも絵がびっしり。
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 優雅なお屋敷だなぁ。
 オルセー美術館にあった「ガラテア」もテラテラした絵の具の盛り加減などが非常に美しかったですよ。

■ロダン美術館
 こちらもロダンの邸宅を美術館に。
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 すてきなお屋敷ですこと〜お庭も広いし。
 「接吻」、いました。
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 なかなかお目にかかれない背中もチェック。
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 思った通りフェロモン全開の良いお背中ですこと。 男は背中で語るのだ☆
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 背後のちいさいシルエットが、何やらお熱い二人を冷やかしているようにも見えなくもない?
 好きな芸術家たちの個人美術館に行けるなんて、長年の夢が叶って嬉しいな。 

■オランジュリー美術館
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 モネ、晩年の大作「睡蓮」シリーズが展示されてます。 印象派絵画の見方が分かるとモネの偉大さをつくづく感じます。 そういえば、ここでユトリロの絵を初めて見ました。 オルセーに行った時、ユトリロの絵を全く見なかったのです(急ぎ足だったから見落としていたのかな?)。 フランスでユトリロってどんな立ち位置なんだろうとちょっと首をかしげてしまいました。 


■旅の雑感・アブダビ空港の店員
 中継地・アブダビ空港の化粧品売り場で、男性店員がおもむろにサンプル展示品の化粧水(女性用)をシュシュッと疲れ顔に拭きかけていたのを思い出しました。 暮らしの知恵だね(笑)

■旅の雑感・食事 
 現地の方々申し訳ない、と前書きしまして。
 欧州に何度も行ってると食事に対してあまり期待しなくなっちゃいまして。
 しかも、だいたい割高なんですよね。 レストランで並に食べても30ユーロ越え、マックのセット(ハンバーガー・ドリンク・ポテト)で7ユーロ(1000円前後)も。
 パリでは寿司1パック15ユーロとかあったなー。
 国民総グルメな日本の食事に慣れてると、味も値段に見合ってるとはあまり思えず、まあ、すてきな雰囲気で思い出作りみたいな。
 というわけで、今回は何食分か日本から菓子パンやお米を持って行きました。
 朝はホテルの朝食、昼は適当なファストフード店かお弁当、夜はスーパーで買ったお酒や総菜+ご飯など。 ご飯って小鍋でけっこう簡単に炊けるものだね。

posted by 長崎 at 10:49| 旅の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月06日

ハンガリー・オーストリア・チェコ・スロバキア2013

2013.2.1〜2013.2.8
■2月1日(金)
 午後1時成田発  ミュンヘン経由で午後5時プラハ着
 プラハ泊。
■2月2日(土)
 午前中はプラハ市内観光。 
 午後はミュシャ美術館。 グッズが素敵すぎて散財(笑) 午後4時前にはホテルに戻って寝てました。 
 プラハ泊。
■2月3日(日)
 プラハ→チェスキークロムルフ(世界遺産の城塞都市)→ウィーンへ。
 チェスキークロムルフでお昼にマス料理を頂きました。
 地域博物館や中世犯罪博物館などに行って時間つぶしてしまいましたが、エゴン・シーレ美術館があるのを今気づきました。
 ウィーン泊。
■2月4日(月)
 午前中、ウィーンにてシェーンブルン宮殿見学。
 午後はベルヴェデーレ宮殿(クリムト「接吻」のある美術館)、アルベルティーナ美術館、レオポルト美術館(シーレの絵が目玉)。
 ウィーン泊。
■2月5日(火)
 ウィーン→ブダペスト。
 王宮(国立美術館)、西洋美術館へ。
 ブダペスト泊。
■2月6日(水)
 ブダペスト→ブラチスラバ→ウィーン。
 ブラチスラバで武器博物館へ。
 ウィーン泊。
■2月7日(木)
 ウィーンからフランクフルト経由で成田へ。
■2月8日(金)
お昼ごろに帰宅。

■クリムトとベルヴェデーレ宮殿(ウィーン)
 今回クリムトの本物を観たのは初めてなのですが、もう、ため息つかずにはいられない。
 人を陶酔させるものは愛と美なんだなあ、と改めて感じ入ってしまうほど。
 個性的で卓越した表現力とセンス。 展示の仕方もよく分かってらっしゃる感じで、シンプルな黒い壁の薄暗い室内に、黄金色の絵が輝くようで…。
 クリムトの使う金は神々しさというよりも、魂が満ちたりた喜びの色なんだなと思いました。
 それに、漂う死と退廃の匂いが、更に悩ましく魅力的。

 クリムト「接吻」が展示されているのは、バロック建築の集大成とも言われるベルヴェデーレ宮殿。
 こちらには、たいへん美しいスフィンクスたちが宮殿の番をしています。
 高校生だった頃、この豪華な宮殿とクリムトの絵が載った美術雑誌を、別世界を見るような心地で飽きることなく眺めていました。
 今回訪れてみて、感慨ひとしおです。 
 (宮殿内部は写真NG)

■シーレとレオポルト美術館(ウィーン)
 レオポルト美術館の目玉はエゴン・シーレ
 強烈な才能を感じました。
 自我の追求というか、何をおいても俺、俺、俺、俺、と、自分の事ばっかりしか考えてなさそう。
 彼の色遣いは全て自らの身から出たもの(血とか膿とかかさぶたとか)を想起させてしまう。
 すごく芸術家らしい精神の持ち主なんでしょうが、こんな人と関わったらとても厄介だろうな。
 「死と乙女」のモデル・愛人のヴァリー(外見がシーレによく似ている)も彼に尽くした末に捨てられたし。
 逆に、こんなんで才能が無かったらどうしようもなさすぎて目も当てられないな(あでも、才能があるからほっとけなくなる分始末が悪いのかも)

 この美術館で丁度、「Nude Men」という、男性裸体作品ばかりを集めた企画展もやっていました。
 最近「観覧者も裸で見てよし」とかって話題にもなりましたよね。
 美しいのも美しくないのも嬉しいのも嬉しくないのも色々でした。
 お裾分けにこちらの画像をどうぞ。
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 イケメンがひしめいてワッショイワッショイ的な、婦人が絵の前でオッホッホと笑まずにはいられないというか。
 +拡大。
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 作者はサシャ・シュナイダー、100年前の作品のわりには、人物が今っぽいですよね。
 あと、オシリストの方々にはこちらをオマケ。
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 もひとつ、日本展も同時開催されていました。
 金箔を多用した琳派の屏風絵を見たウィーンっ子は「クリムトこういうのに影響受けたんか〜」というふうな印象持って見てたかもしれませんね。
 応挙、大観の他、春画がけっこうクローズアップされてました。 
(美術館内部はフラッシュ無しで撮影可) 

■チェスキー・クロムルフ(チェコ)
 プラハからバスで3時間半、蛇行したブルタヴァ(モルダウ)川にぐるりと囲まれた世界遺産の小さな街です。
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 おとぎの国のような佇まいは美しく、川に接しているためせせらぎの音がとても心地良い。
 こちらは中央の広場。
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 ヨーロッパの古い街にはこういう広場が必ずありますね。
 かつてはここで集会があったり、罪人の見せ物などをしていたのでしょうか。

 お昼はマスのマッシュポテト添え。
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 美味しいチェコビールで頂きました(チェコは世界一のビール消費地だとか)。 川魚は初めてでしたが、思っていたより泥臭さもなく、なかなか美味しかったです。 塩気をきかせて天ぷらなんかにしてもよさそう。

 こちらの名物・トゥロドゥロ。
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 金属の筒にタネを巻いて焼いて、チョコやシナモンなどの粉をまぶします。
 ほっこり暖かくて、冬場にぴったりなおやつ。
 食パン2枚分くらいのボリュームなので、けっこうな食べ応えですが、美味しいのでわりとぺろっといけます。 

■チェスキー・クロムルフの拷問博物館・地域博物館(チェコ)
 拷問博物館は、広場に面した古い建物の地下牢を展示室にしています。
 地下牢は、座ることもできないほど狭い牢屋や、水責めができる場所など、色々な用途を想定されて設計されていました(怖)。
 回廊は人一人通るのがやっとなくらい狭く、堅牢な石造りはなかなか脱出は難しいだろうなと。
 暗がりでフラッシュ無しなのでぼけた写真で申し訳ないのですがちょっと紹介。
 展示方法は、拷問器具の他に、拷問シーンを再現したマネキンやら、録音の叫び声やらで、ものものしい雰囲気を演出していました。
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 係の人に訊いたら「大体は本物」とのこと。
 まずは拘束器具。
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 焼きごて。
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 鞭。
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 三角木馬は足もとに鎖と石で出来た重しが。
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 右のは貞操帯ですね。
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 これは指を締め付ける器具でしょうか。
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 さいころにカード…これは何なのでしょう?
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 こんなものの開発者とか、人を痛めつけるのが仕事の獄吏とか、中世の人たちって怖いですね。 … 一通り観た後でしみじみ思うことは、現代に生まれてよかった、に尽きます(ぶるぶる) こんなにも美しい街でこんなおぞましい行いがなされていたのかあ…。

 地域博物館は古代の土器や中世〜近現代の装束、武器甲冑、楽器など、工芸品が多めで史料性が高かったです。 

■ムハ(ミュシャ)美術館(チェコ・プラハ)
 ミュシャ財団が運営しているという、こぢんまりした美術館でした。
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 点数はまあ個人美術館程度ですが、それでも当時の大きいサイズのポスターやデザイン画(完成度高すぎて泣けてくる)など、十分見応えありました。
 ポスターやパッケージデザインは勿論ですが、油彩も素晴らしいです。
 大作が無かったのがちょっと惜しいところかな。 スラヴ賛歌も一度は生で見たい作品のひとつです(プラハから片道4時間の城にあるそうで、難易度高そう) あと、当然ながらグッズがどれも素敵です。 

■美術史博物館(ウィーン)
 今回も美術館・博物館をはしごしましたが、一番充実していたのはウィーンの美術史博物館。
 世界三大と言われるスペインのプラドよりも充実していたような? 帰国前日、ブダペストからウィーン郊外のホテルに着いたのが午後3時すぎ。 急いで市電、地下鉄を乗り継いで行きました。 ルーベンス、ベラスケス、エルグレコ、レンブラント、ラファエロ等、中世の巨匠を多く揃えており、質・量ともに圧倒もの。 2時間たらずの鑑賞では足りませんでした。
 建物自体もとても豪華。
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内観も豪華豪華。あ〜豪華ですねえ(←何故かやけくそ)
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 展示室はこんな感じ。
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 こんな風にゆったり静かに鑑賞できるのは、オフシーズンならでは。

 ルーベンスだけでも数部屋占めており、「ひえーこんな所に!」と、不意打ちを食らったのがこの「メデューサの頭部」。
 この世で最も怖くて面白いメデューサだと思います。 死に際の彼女の頭部から我先にと離脱する蛇たち。 よくみたら、どさくさに紛れるようにトカゲやらクモやらが混じってるし。 離脱する者以外にも、血だまりから新しく湧いて出たり、共食いを始めたりしてるのもいます。 蛇なりに必死すぎるあまり滑稽にすら思えてきます。 「髪の毛的な蛇」っていうのはまあよく見るけども、こんなにも多様なアイデンティティをもった蛇たちの集合体として表現した、ルーベンスの発想力に脱帽です。 幼児が見たらトラウマ確定でしょう。 ただ、爬虫類が好きな人にはたまらない絵かもしれませんね。 これほど劇的で活き活きした爬虫類を描いた絵ってそう無いでしょうから。
 …インスパイアされて解釈的漫画を描いてみました。
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 この美術館はブリューゲルの収蔵品数の多さも特長で、「バベルの塔」「雪中の狩人」などの有名な作品も展示されています。
 彼の絵は色んな人が色んなことしているものだから、できればゆっくり鑑賞したかったところですが、仕方なし。 

 ラファエロの「ベルヴェデーレの聖母」は甘い花の香りが漂ってきそうでした。
 描かれて以来何百年も香るような美しさを漂わせていたのかとちょっと感動。

 閉館間際に目に入った、今回の旅最後に見た絵がフェルメールの「絵画芸術」でした。 不自然なところ、塗り損じたところが一つも見あたらない、まさに名画。
 砂絵のような、息を止めたくなるほど儚くも端正な画面でした。 画家のタイツの朱色がとてもいい。
 閉館ギリギリまで見入って、係員に追い払われるように出てきました。 

■プラハ市内観光  
 チェコに着いた翌日の午前中は、首都プラハ観光でした。
 このプラハ城は世界最大級の城です。
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 現在、内部は美術館等として観光客にも解放されています。
 入り口には番兵がおりまして、こちらは交替中。
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 プラハ城内にある聖ヴィート大聖堂(歴代ボヘミア王の墓を置いてます)。
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 見事なゴシック建築。
 こちらはプラハ城から眺めるプラハ市内。 
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 豊かな水量のブルタヴァ川
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 …に架かるカレル橋。
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 14世紀に着手、15世紀初頭に完成した石橋です。
 橋の両端に30体の石像・銅像が建っています。
 空を自由に(略
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■ウィーン雑感  
 つくづくウィーンは芸術豊かな優雅な街でした。 他の都市に比べて人々の雰囲気がとても良くて。 街行く人に道を尋ねても快く答えてくれ、何度も助かりました。 芸術に身近に親しんでいるからでしょうか、文化や教養の効果ってこういう所に出るものだなあと。 勿論、日本もその水準は高いと思います(というか、高すぎるからこそ、何でも心得て当たり前だとか、ちょっとの差で勝ち組、負け組と決めつけたがるきらいがあるようにさえ思えます)。
 あと、ホテルの近所にあった有名な菓子店「オバラ」のケーキで繁忙期の打ち上げをしました。
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 この店は甘さ控えめとガイドブックにありましたが、ザッハトルテは糖度高めのコーティングチョコに加えて、アンズジャムまで入って十分甘〜い(他のお店のはどうなのかしら)
 イチゴはわりとあっさりしていました。 どちらも美味しかったです。 

 ウィーンのオペラ劇場は、立ち見3ユーロで見られるのだそうです。 ただし待ち時間含めて5時間は立ちっぱなしとのことで、今回はやめておきました。 10年後か20年後か、オペラやクラッシック音楽にそこそこ馴染んだ頃にオペラと絵画を目当てにもう一度行ってみたいなとは思ってます。 とても魅力的な街でした。

 余談ですが、ウィーンは温泉地でもあり、冬場なのにホテルのロビーで何カ所も蚊に食われました。

■ハンガリー国立美術館・西洋美術館(ブダペスト) 
 ハンガリー王宮を国立美術館として開放しております。
 王宮がこんな感じに小高い山の上にありまして、たどり着くまでに一苦労。
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 この写真は、向こう岸からドナウ川に架かる鎖橋を渡ってきまして、王宮の塀越しから撮りました。
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 結構歩いた…。 

 国立美術館の内容は、主にハンガリー出身の近世〜現代の芸術家の作品で固められております。 基本、どれも展示にふさわしい素晴らしい出来映え…ではあるのですが、どうも、モネモネしいとかマネマネしいというような、お手本から抜け出ていない印象がありました。 

 西洋美術館は当初あまり期待していなかったのですが、たいへん充実した展示内容でした。 古代ギリシャ等の彫刻、中世はエルグレコ多めで、現在上野で開催中の企画展にも貸し出しし中のもあったり(今回の旅はグレコ率が高いなぁ) 近代はロダンが目立ちました。 たまたまセザンヌの企画展もやっておりました。 常設展はガラガラなのに、セザンヌ展はかなりの混雑。 人気なんだなぁ。 

 ちなみにハンガリーの通貨はフォリント。 ユーロで支払うとフォリントでお釣りが還ってきます。 もうじき使われなくなるのでしょうね。 

■移動とネット事情
 今回は久しぶり(2004年の初海外以来)の、ルフトハンザ航空。
 充実したサービスが魅力で、エコノミーにもスパークリングワインを出してくれます。
 機内食はこんな感じ
 行き(牛肉)
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 帰り(牛肉…チキンの和食を切らしていたそうで、お詫びにおにぎりを貰いました。 お詫びにおにぎり、斬新ですね(笑) 
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 行きは成田−ミュンヘン−プラハ、帰りはウィーン−フランクフルト−成田と、ドイツ経由、家から目的地までたどり着くまで20時間くらいはかかりました。 家を出たのは午後8時前、荷物抱えて満員電車は堪えますね。 この過度なもみくちゃをどう表現しようか…もみくちゃもみくちゃ、と書くと大したことないけど、もみもみくちゃくちゃ、と書くとなんだか変だなとか、しょうもないこと考えながらやり過ごしておりました。

 帰りのフランクフルトの空港で見つけた可愛らしい看板。 よくお似合いで。 
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 旅先のネット事情、プラハ・ウィーンでは1階ロビーで無料WiFiが使えました。 あと、マクドナルドも無線LANが引いてあるので、お昼ご飯に何度かマックを選びました(店の前でネットをすることも可能) 相変わらず旅のお伴はiPodTouchです。 

■雑感 
 添乗員さんにクレームしたこと…。 書こうかどうか迷ったのだけど、まあ今は怒ってないし、今となっては笑える思い出程度なので書いておきます。
 もう還暦を迎えるというベテランの男性で、飛行機の席取りや諸々の管理など、手際はとても良かったのですけど、一つだけ困ったことがありまして…。

 その日、プラハ → チェスキークロムルフ → ウィーンの、日中ほぼまる一日(7時間)バス移動という日程。
 その添乗員さんはチェスキークロムルフに行くまでの3時間半、ずーっと、うんちくを喋り続けていました。
 最初は「物知りな人だな」と感心していたのですが、徐々に「ん?いつまで喋り続けているの?」という疑念に変わってきて…。

 で、チェスキークロムルフに着いて昼食した後、午後もこの調子だと困るかなと、添乗員さんに「お昼のビールで良い気分だから、午後は寝かせてください」と頼み、承諾を得たのにも関わらず、午後のウィーンまでの移動の3時間半もほぼ休み無しで喋り続け…。 あれれ?

 多分、今回の旅は学生が多かったから、色々教えたかったのだろうなという気もします。
 でも、7時間拘束中に聴かされっぱなしはさすがに気疲れしました。
 他のお客さんを見回すと、大体寝てるか、イヤホン大音量にして音楽聴いてるかという様子。
 何故か耳栓しても筒抜けだし(苦笑)

 やむを得ず、翌朝のバス移動の前に「昨日はお話が長くて寝られませんでしたよ」とひとこと。
 それ以降は気遣ってくれたのでまったりできました(旅行社アンケートも低評価はつけませんでしたし) 

 いえほんとは寝たいかどうかというのではないのです。 ただ、見慣れない風景をゆったり眺めて、非日常に浸りながら、日常を振り返る時間も大切なのではと思うのです。 今回の件で、旅情というものについて改めて考えさせられました。

 そうだッ!旅情は大切だッ! …ということが今回の旅の主張であります(笑)

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
posted by 長崎 at 12:03| 旅の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月15日

上海2012

中国(上海) 2012.9.7〜9.10

1日目は団体で市内観光。 2日目はフリーで上海博物館入り浸ってました。 
行動範囲はちょっと控えめにしました。

■上海っ子のファッション 
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この時期の上海の気温は日本よりもやや涼しく、25度前後。 
シャツをたくし上げてお腹を出して歩いていた中年男性をあちこちで見かけました。 
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服装はカジュアルな感じ(似た気候でも香港はブランド好きそうな若者が多かった) 女の子はすっぴんが多く、つけまつげをした子を全くといって良いほど見かけなかった程でした。 今のところアジアで美人度が高いと感じたのはベトナム・ホーチミンです。 スリムな体と健康的な肌といった、ナチュラルさが魅力的な女性が多かったな。 東京もレベルが高いとは思うけど、すっぴんを見せられない的美人が多い気がする。

■外灘(ワイタン)
上海観光の見どころの一つでもある海岸沿いの街並み。
植民地時代のビル群など見応えがありました。 現在は金融街。
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東洋のウォール街という風情で、(ウォール街のシンボル)うしまでいましたよ。 
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夜景は香港に匹敵するほどだそうですが、今回は反日風潮が気がかりだったので夜間の単独行動は避けました。  

■治安
無理をしなければ大丈夫といったところでしょうか。 移動はタクシー・地下鉄両方利用しました。 地下鉄といえばやはり中国人というか、おしゃべり声が大きいんですよね。 あと、カップルの外でのいちゃつきぶりもけっこうなものでした(電車のすみっこでずっと抱き合ってるとか笑) 街中で大喧嘩をする様も見ました。 こんなに周りを考慮せず自分のしたい事できるって、ある意味強みですよね。 ちょっと羨ましい。

■ホテル
5月の北京旅行の際、同じツアー客に「アジアのホテルは正味☆-1なので、ワンランク上を選んだ方がいいよ(お湯が出ないとかベッドが壊れるとかトラブル多いから)」との助言を頂き、ちょっと良いのを選びましたが、予想外に良くて満足でした。
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部屋は広くて趣あるし
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21階からの眺めは壮観だし
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何より好立地。 ホテル内部は3階フロアが一望できて高所恐怖症には冷や汗ものかも。
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朝食(バイキング)も今までで一番品揃えが豊富でした(コーンに飢えていたらしい)
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1階ロビーではフリーでネットができたのも助かりました。

3日目は出発が午前6時と早く、ホテルがお弁当を用意してくれました。 
サンドイッチ、ベーグル、ゆで卵、チョコマフィンに、そして丸ごとの梨とリンゴ(多いね)。 
以前ちょっとフルータリアンに憧れるとかいってたくせに、梨完食した後、リンゴ半分で飽きてもう白旗(失笑)。 
果物生活なんてやったら気が狂うかも。

■JAL
今回利用した航空会社は久々のJALでした。 
機内食も安定のJALクオリティーで美味しかったし。 
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こちら帰り
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機内で映画「テルマエロマエ」観ました。 
フライト時間が短く最後まで観られませんでしたが、まあまあ面白かった。 
一番、銭湯にたむろするおじいちゃんたちがなんとも味があってよかった。 

■ホテルでテレビ 
そういえばホテルで観た、天皇陛下の手術をした天野篤医師の番組がすごくて頭に残ってます。 食事も大して摂らず家に殆ど帰らず手術三昧。 年間400回以上、心臓外科手術を執刀してるとか(ま・まてよ、1年て365日よね…)。 手術前後に「よっしゃー」とか気合い入れるものだから、まさかと思ったらやはり尊敬の人は猪木氏とのこと。 こんな人にも尊敬される猪木さんって実はとっても凄いんだなと変なところで感心してしまいました。 フェデリコ・フェリーニの映画「道」の名台詞とかで「この世には石ころにだって役目があるんだ」みたいなのがあったんだけど、こんなん日々研鑽積んで寝る間を惜しんで多くの命を救っているとか知らされると、自分が石ころ以下に思えて仕方ないんですけど(苦笑) 

■食事 
そういえば中国の水は飲んじゃいけないそうです。 
うがいもダメだそうです(うっかり一度してしまいました。帰国後数日お腹の調子がよくなかったのはそのせいなのでしょうか??・汗) 

旅行2日目のお昼に食べた四川料理が超辛かったです。
鷹の爪がたっぷり入った魚のスープ(味自体は美味しかったのですけどね、辛さがキャパ越えでした…)
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山椒と唐辛子がガツンと利いた麻婆豆腐…その他辛いメニューが何品も。 
他のツアー客も悲鳴上げながら食べてました。 
夕方に食べた上海料理は淡泊で普通に美味しかったです。 

3日目の昼・鼎泰豊のチャーハンは美味しかった。
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やっぱり料理人の腕によりけりのようです。    
…色々食べ過ぎたので夕方は軽くパン1個で済ませました(汗)

■南京路と田子坊
ざっくり言うと歩行者天国。
南京路は上海最大の商業地。
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色んな店が多く、活気がありました(しつこい客引きも多いので注意です。) 
ここの界隈のマッサージを受けました。「桃源郷」ってトコなんですけど、暗い照明が良い雰囲気で、かなり気持ち良かった。

■田子坊
田子坊は古い街をリフォームした、若者向けの多い商店街。ノスタルジックな雰囲気が素敵。
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迷路のようで、ちょっと迷いました。 お土産買うのにお奨めかも。

■上海雑伎団 
2日目の夜に行きました。 今回は雲峰劇院という団体のショーです。 
男性・女性ともに10人程度、男女交互に衣装を替えながら色んな芸を披露してくれます。 
こちらは帽子のジャグリング。
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芸達者だなぁ。 金を取れる芸ってハンパないなぁ。 
いかにも中国〜っていうセンスは「ダサイ!だがそれもいい!」という印象でしょうか。 
あでも、こんなに身体能力があったら、もっと奇抜な演出で観てみたいという気にはなります。 

(ノンフラッシュで不出来な写真ですみません)
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こちらは、ムーディーな歌謡曲に角刈りの地味げな顔の男性がピンク紫のスポットライトを浴びながら何やら艶めかしげに軟体パフォーマンスをするんですけど、どうしてこうなったとツッコミたくなるような。

こちらはバイク。
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後ろのカゴの中に5台走ってました。 

このほどツアーのオプショナルとして行ったのだけど、A席値段でB席として買わされ(この時点では値段の事なんて知らないしね)、「特別にA席にしてあげよう〜」とA席に案内されました。 高いチケットを買わせたかったのね、なんかはめられた…でもまあ送迎があったからよしとしますか。 ともあれとても見応えのあるショーでした。 上海雑伎団はいくつかの団体があるようなので、色々見比べてみるのも良いかもしれませんね。 どうやらネットで半額チケット買えるらしいというのを帰国して知りました。 もし今度行くときはそちらを利用しようかと思います。 
…またいつか行きたいです。

■上海博物館1 
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今回の旅の目当て、上海博物館。 
2日目にツアーで小一時間、3日目の自由行動で午前中じっくり鑑賞しました。 
青銅器が豊富で古代の神秘を存分に堪能できました。 
こういう祭器とか観ていて飽きません。
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孔子とか孟子とか、人文主義的な思想が生まれてきた頃になると途端にミラクルな造形センスが薄れてくるのも興味深いです。 
ところでこのツボ、なんだかそこはかとなく趣きがヴィトンっぽいと思いました。sha20.jpg

民族衣装の展示もとても見応えがありました。
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こちらの衣服、鮭皮製ですって。 
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チベット仏像が衝撃的でした。 
こちら、仏頂尊勝母(ウシュニーシャ・ヴィジャヤー)
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腕も顔も沢山あるのに奇怪さは微塵もなく、とても優美。 四対の腕は流れる舞のよう。 
必然的に密な肩に対して、くびれた細いウエストがバランス良く、優れた造形センスを感じます。 
興福寺の阿修羅像のような直線的な美しさもいいけどこちらもいい。 

チベットのお面も大きくてインパクトのある造形。
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この仏教系彫刻
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拡大すると…
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ぎゃー。 コピペじゃないのですね。 昔の人ってすごいね。

■ちょっと見つけたもの
ホテルの隣に、上海の萌えーな店発見。
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中には入りませんでした(ちょっと勿体なかったかな)

■豫園(ユーユェン) 
上海のメディチ家みたいな一氏の大豪邸を観光スポットにした場所です。
こちらは外観。
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50元で中に入れます。

ゲートをくぐった屋敷内部は、迷路のような奇岩と回廊、池。
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劇場までありました。 
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写りが悪くて恐縮ですが、屋敷内に鎮座していた狛犬親子がどれも可愛らしかったです。
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こどものおかあちゃーんって感じ、母狛の強面でも母性溢れる表情がいい。 
狛犬は雌雄一対で、雄は宝珠を、雌は子供をそれぞれ手にしています。

■上海浦東国際空港 
広くて近代的でした。
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■ねこ 
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まあこんな感じで、短く控えめながらも充実の旅内容でした。
何より無事だったのが一番よかった。
帰国して数日後に暴動が始まったのですよね。
posted by 長崎 at 13:08| 旅の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする